その隼盆町という小さな村は未開拓地だ。ドロスカーの岩の影が差す隼盆町の人々は心優しく厳格である。そこでの生活は困難であり、それが破られるのは僅かな祭りや滅多に来ない隊商だけだ。
彼らは絶えず野生と人の策略という2つの逆境に面している。ウルフは彼らの踵を食いちぎり、スリは衣服に縫われた物入れに手を伸ばす。彼らが強いことを証明するには、そこで生きていることを示すだけで十分だ。
―パスファインダー年代記
盆町の最後の希望は1レベル・キャラクター用に設計された屋外およびダンジョンの冒険である。この冒険を達成したキャラクターは結末には2レベルに届くだろう。この冒険はゲームマスター用モジュールD1: Crown of the Kobold Kingの前編として使用できる。
このモジュールはダークムーン谷をわたる屋外と、地上にある古のドワーフの修道院の廃墟のダンジョンの探検の複合である。この要素において、ゲーム・マスター(GM)はこのモジュールを始める前にこの土地を旅できるようルールに精通しているべきだ。
先週、隼盆町の住人の多数が病に罹り、同じ症状に悩まされた。その土地の治療法は武勇と正義と名誉の女神アイオーメディの教会の祈祷ほどにしか効果がなく、少なくとも1人の町の長老が呼吸不全に陥り命を奪われた。
隼盆町にとっては幸運なことに、ラウレルという名の慎重な地方の薬師は病の源を町の端にある小さな泉のブックマンの井戸、そしてブラックスカーと呼ばれる菌糸類だと突き止めている。その井戸の使用を禁止し、町の警察隊は更なる感染を防ごうとしたが、既に感染したものにとってはなんの慰めにもなっていない。
ラウレルは様々な療法を試したが、彼女ではこの病を治療できない。彼女はその普通でない最後の薬を調合するための試薬を欠いているが、全ての必要不可欠な要素は近くのダークムーン谷内で見つけられるという。そうではあるが、町民は誰も敢えて森の中へと入って潜在的な治療薬の原料を探し保管しようとはしない。
感染中の町を治療するよう薬師に求められたPCたちはダークムーン谷に旅立ち隼盆町のブラックスカー汚染を治療するのに必要な原料を調べなければならない。道中、PCは森林内で育つ危険を暗示する無数の森の住人と、ドワーフの使っていた崩れかけた――共謀で獣的な主の領土となっている――廃墟に遭遇する。
いくつかの出来事がPCたちを小さな交易町、隼盆町に引き寄せるかもしれない。隊商が外国の都市のいくつかから定期的にここに来て、ダークムーン谷に生い茂る希少なダークウッドを交易し、個性的な人を護衛として、あるいは金を払った旅人をついでに町に連れていったりすることもある。あるいは、キャラクターは若い、木こりの臼と町でのつまらない陰謀を超えて興奮と好機を求める冒険家の魂を持つ、隼盆町の住人で長い間あったかもしれない。地元の住人であるPCたちは友人あるいは知人としてお互いを知っているかもしれないし、もしかすると町の感冒の薬を探している間に知り合うことになるかもしれない(救済根菜店に向かっているときにかちあったり、ラウレルに同行の示唆を受けたりなどで)。
PCたちにこの冒険の構想に巻き込むのに後押しが必要な場合、友人、親族、あるいはもしかしたらPCの1人自身がブラックスカー汚染に倒れてよい。また、薬師ラウレルと保安官ベイルソンが助けを求め、PCたちの特別な技術を期待して彼らにラウレルの一般的ではない治療薬について学ばせるかもしれない。
君がこの冒険を始める準備ができたとき、以下をプレイヤーたちに対して読むか言い換えること。
文明圏の端に位置する隼盆町という小さな町は、常に自力で問題を解決してきている。しかし、冷淡な木こりの権力者たちは民から銅貨1枚でも搾り取ろうとし、彼らの請願には耳を傾けていない。今や病気による咳が街中から聞こえる。その疫病は隼盆町を襲っており、町の統率者たちはそれを止めるつもりがない。
その土地の木こり組合が所有する未開発の共同体である隼盆町はダークムーン谷の端にあり、鈍らののこぎり屑が曲がりくねる交易路に散らばっている。1,500人未満の人間と少数の他の種族の故郷であり、町民の多くは骨の折れる仕事で払われるけちな硬貨とそれで買える倹しい快適さにのみ気を配っている。少数の者は1人にとって悪いことは全員にとって悪いことであることと、そして共同体は強欲、放蕩、そして意固地なまでの独立独歩を粘り強く混ぜ合わせることによって繁栄すると理解している。
LE小さな町
退廃−1;犯罪−2;経済−2;法治−3;情報−4;社交+2;危険+0
欠点疫病
性能
政治体制合議制
人口1,400(人間1,316、ハーフリング42、ハーフエルフ14、エルフ14、他14)
著名なNPC
裁判官スルドリン・クリード、LE男性の人間エキスパート3/ローグ4(木こり組合の裁判官)、
執政官ヴァムロス・ハーグ、NE男性のハーフリング・アリストクラート2/ソーサラー5(選出された執政官)、
保安官デルドリン・ベイルソン、LN男性のハーフエルフ・エキスパート3/ファイター3(ダークムーン谷の保安官)、
首領ペイデン・「ペイ・デイ(給料日)」・ディードゥム、LE男性の人間モンク2/ファイター3(木こり組合の超越的首領)。
市場
基本価格1,200gp;購入上限40,550gp;呪文4レベル
下級アイテム3d4;中級アイテム1d6
退廃+1;犯罪+0;経済+0;法治−1;情報−2;社交+4;危険+0
基本価格1,500gp;購入上限40,550gp;呪文4レベル
この冒険自体とは関係のないことだが、盆町の最後の希望はゲームマスタリー・モジュールD1: Crown of the Kobold Kingの前奏曲としてうまく働く。この冒険をCrown of the Kobold Kingの一部として使いたいGMは全ての隼の虚の病気の感染の要素を全て取り除き代わりにダークムーン谷とコボルドの隠れ家の上の廃墟の遭遇を追加の遭遇として使用すること。その完全な冒険と隼盆町の町の詳細があるNicolas LogueのCrown of the Kobold Kingは、君の地元のゲーム店と有線のpaizo.comで入手可能だ。
冒険の開始の時点で、隼盆町に住む数十人の人々がブラックスカー汚染と呼ばれる菌性の病気を患っている。症状は際立って致命的というわけではないが、体調が悪く栄養が欠けていた多くの者――特に老人と子供――は絶えず死に瀕している。ゆっくりと悪化してゆく感染者たちはあと数日もすれば死んでしまうかもしれないが、既に最も衰弱した者たちは死んでおり、その数は日に日に増えている。
ブラックスカー汚染は摂取型の病気であり潜伏期間は1d3日である。この病気は1d2ポイントの【耐久力】ダメージを与えDC14の頑健セーヴで抵抗できる。感染した者は咳き込みはじめ、そして病が進行するとそれはすぐに吐血へと変わる。
冒険の開始から最初の2日間、1d4人の町民がブラックスカー汚染で毎日死んでいる。3日目には2d4人の町民が、4日目には3d4人が死に、死の弔鐘は日ごとに1d4ずつ、最大で40人の村人が非業の死を遂げるまで増えていく。PCにブラックスカー汚染に冒された知人や恋人がいる場合(そしてその人物がNPCの性能を欠いている場合)、その知り合いそれぞれにつき4d10をロールすること。そのNPCの数に死者数が達する時までにPCたちが病気の治療薬を持って帰れなかった場合、その特定のキャラクターは死亡する。
40人の町民がブラックスカー汚染によって死亡すると、病は蔓延し、自力で克服できない全ての者を殺す。その時点までにPCたちが治療薬のための捜索を終えて隼盆町に戻れなかった場合、彼らは愛する者を失った人々から皆から避けられ恨まれる。
隼盆町にはクレリックが殆どおらず、カーサナ夫人(LG女性のアイオーメディのクレリック2)だけが病気を止めることに興味を示すが、彼女は病気を癒す能力を欠いている。彼女を信頼している町民は殆どおらず、多くの者は医学的な店に頼り、蝦蟇の膏と媚薬の収入が治療薬と良質の茶葉と同じくらいになっている地元の薬師、ラウレルという名前の素晴らしい女性(NG女性の人間エキスパート3)へと足を運ぶ。高価な治療薬なのではと少しでも言い含むと、彼女は即座に発言者にそうではないと注意する、実際のところ、女医ラウレルは最善を尽くして求める者を助けているが、彼女の収入は厳しく、生きていくのに最低限であり、その自負の心が、収入を受け取らないことが失敗であることを認めない。
他の多くと事態と同様ブラックスカー汚染の扱いにおいてでも、ラウレルは祖母から調合、治療、そして手当のための呪文の書かれた本を受け取っている。その本には本当の魔法は書かれていないが、ラウレルの数世代に渡る家系に基づいた知恵が蓄えられており、それにはダークムーン谷のウィッチの教えも含まれている。ラウレルの祖母はウリズミーラという魔女から、自身の視覚と交換にその知恵を授かった。その本にある怪しげな処方――ラウレルの祖母によって書かれたものではない――は1つしか残っておらず、それは病気の架空の解決法を追うよりもずっとやる価値があるというのに、3つの最も重要な原料を欠いているため薬師ラウレルは未だ試せていない。
どうやってPCがラウレルに介護を頼むのかは大部分がGMにかかっている。DC10の〈知識:地域〉判定あるいは単に感染した者の家族に聞くことで、ラウレルは病人の介護を出来る限りやっていることが明らかになる――彼女が断るのは寝台で休むことや刺激臭のする黒球根の茶程度だ。町の誰もがPCたちに、間違わないような名前をしたラウレルの店「救済根菜店」に向かうよう指差す。ラウレルの店に向かう通りは、まだ知り合っていないPCたちが最初に会うには有用だろう。
生い茂る蔦と窓に覆われているという粗雑な外観をした2階建ての店には、掠れているが“救済根菜店”という看板が貼られている。二十数人の沈鬱そうな町人――ある者は顔色の悪い喘ぐような子供たちで、またある者は半ば泣きながら慌てているように見える――が開かれた扉から列を伸ばしている。
ラウレルの店はブラックスカー汚染の蔓延以来千客万来であり、来る者は感染者とその家族と、その種の心気症の者たちである。彼女は全力を尽くして正しく心配な者を助けようとするが、騙される人に手持ちで最高級の香を売りつけることに気は咎めない。
PCたちがその行列に横入り――その行動は小規模な暴動の引き金になるかもしれない――しない限り、1時間近くかければ救済根菜店の扉に着く。内側に入れば、店の散らかりようと荒廃ぶりが最近の往来を物語っており、そして店内で病気の良薬を煎じているラウレルは明らかに超過勤務をしていることが見て取れる。
焼けた土と香辛料の匂いがこの狭苦しい、土塗壁の店を満たしている。ぶらさがるヤカン、書物、錬金術的な器具、そしてより秘術的な目的のための玻璃細工に混じって、干した香草の束が天井に吊るされている。希少な植物の入った小袋と、色つき玻璃の水筒と、そしてあらゆる方法で乾燥され、保存され、そして寒天化した動物の一部が棚の高いところと丸机の上を満たしており、展示されながらも仕事場の空間を占めないようにしている。店内には髪を背中で強く結わえている、幽霊のような、針金のように細い女性が忙しそうに薬草を押し込めた棚と散乱する粉末と計量器具で覆われた丸机、そして灰色の大きな泡を立てる薬缶のただ中で忙しそうにしている。作業の騒音を掻き消すように、見上げもせずに女性は弥猛に叫ぶ、「それで、どうされました?」
PCたちは自由にラウレルと談話でき、彼女に求めれば彼女はブラックスカーの大流行について知っておくべき事、どれだけの人々が感染しているか、そして――特に――泣き言を話しに来る隼盆町の馬鹿者どもの、傷ついてかさぶたができた踵の手当てをするのがどれだけ自分の仕事から外れているか、について答えられる。
PCたちが自分は客であると言わない、あるいは手伝えると言わない場合最初に迷惑そうな態度をとる彼女は最終的に近くに寄り、PCたちにこの汚染について自分が知っていることを告げる。PCたちが誠実であり助けることに自発的であるように見えたとしても、彼女は試したことのない薬について言及しようとはキャラクターが扉へ向かって歩き出すまで考えようともせず、最後の瞬間に彼らを呼び戻す。
ラウレルとの会話において、彼女がする質問への答えは以下のようなものだ:
ブラックスカーとはなんですか?「あらゆる意味で良くない菌類。硬くて、苦くて、鋭いそれが浸かった水を飲み干すと病んでしまう。それが近くで育っていたとは、今まで聞いたこともなかった。」
ブラックスカー汚染とはなんですか?「他と似た症状だけど、黴が体内で育つ点が異なる。それはあなたたちの肺や胃の中で周囲を食べ始め、残留し続ける。あなたたちの肉体は裏の裏までそれに抵抗しようとするけど、あらゆる試みははらわたを蝕んで……悪化させる。」
どれだけの町民がブラックスカー汚染にかかっていますか?「30人を超えるけど、感染していると考えられる者は最低でもその3倍に及ぶ。」
癒し手はいますか?「周囲にはない。町民を使ってできることはさせている。」
他に薬はありますか?「私の祖母の本よるとこの種の症状によく効くものがあるらしい。薬というよりはフージューといった方が適切に聞こえるような恐ろしい調合だけど。」
薬の中身はなんですか?「希少な根と凝縮した液体で、その殆どは私が持っているけど、3つは揃えられなかった。コボクゴケ、これは聞いたこともなかったけど、祖母によると森の最古の木にのみ生えるのだとか。鼠の尾と呼ばれる特別な根の酢漬け、これも私にはフージューのように聞こえる。そして7つのテツザキキノコ、発育不良に見えるこの小さいものは暗く金属の堆積した場所でのみ育ち、ドワーフたちに好まれていると聞いた。」
どこを探せばそれらの原料があるか知っていますか?「そうね、コボク沃土はこの渓谷で最古の木の生える地だけど。そこになければもう心当たりはない。
「鼠の尾とキノコには少し心当たりがある。ドワーフたちがかつて住んでいたという北の山へと向かって。そこには何もないけど、そこの鍛冶場跡地ならあるに違いない。そこでテツザキを見つけられれば、賭けはあなたたちの総取りになる。
「鼠の尾については、知ってたのは誰だったっけ? えーと。そうだ。ウリズミーラ、森の奥深くに住む魔女だ。彼女はそこで変梃なのばっかりつくってる。彼女ならきっと1つくらいは持ってる。彼女が対価として何を求めるかは分からないけど、きっと安っぽいもの。数年前に私の祖母がそのしわくちゃババア相手に視覚と交換で彼女の知る数ページ分の知識を得たけど、その婆はその年に相応しい良い魂を持っているかは私は知らない。」
我々はそれらの原料を集めるのにどれほど時間をかけられますか?「かけられない! 人民が毎日死んでいる! 私たちが今すぐにでもしたいことは墓堀人の仕事を減らせるよう最善を尽くすことだけ。」
それらの原料を見つけられればどれだけ払ってくれますか?[怒りながら]「払え!? 私が……! ええ、ただで頼もうとは思っていなかったわ、当然でしょう。これは取り引き以外のなにものでもないんだから。ええと、私の求める薬の調合に必要なもの全てを持って帰れば1人につきに30ゴールド払う。それでどう?」
彼女はDC15の〈交渉〉判定に成功することでそれぞれに最大45gpまで請け負ってくれる。
ラウレルにはどこで薬の調合物があるかについて考えがあるが、彼女はダークムーン谷の縁より外には足を運んだことがなく、正直に言えば彼女は自分の言う場所のことが分かっていない。PCたちが捜索に同意したように見える場合、彼女は東の木こり組合に向かってマイロン・ローダム――木こり組合でもっとも経験を積んだ杣人――を探したらどうかと示唆する。
場所 | 知識判定とDC |
---|---|
ウリズミーラの小屋 | 〈知識:地理〉DC16、〈知識:地域〉DC20 |
最古の木 | 〈知識:地理〉DC20、〈知識:自然〉DC24 |
ドワーフの修道院 | 〈知識:地理〉DC16、〈知識:地域〉DC20 |
ロール | 遭遇 | EL |
---|---|---|
1 | 悪臭のする足跡 | ― |
2 | フェイの死体 | ― |
3 | 杣人 | ― |
4 | カガヤキカビ | ― |
5 | ワイヴァーン目撃 | ― |
6 | コボルドの祈祷師 | 1/4 |
7 | ジャイアント・モスキート | 1/2 |
8 | 狩人の動物用罠 | 1 |
9 | ジャイアント・ムーアスネーク | 3 |
10 | ウルフ | 3 |
隼盆町から木こりの宿営地から様々な森の中、古いドワーフの廃墟までの旅全体は全長で37マイルを超える。集団の移動速度が30であれば、旅全体は3日を少し超える程度に加え探検に費やす時間や休む数日程度だ。集団の移動速度が20である場合これは5日へと増加する。帰りに水を渡ればたった22マイルにまで減少するが、信頼できない水泳あるいは粗雑な筏の構築が要求される。
PCがこの渓谷を探索している間、1日に1回以下の表をロールして無作為の遭遇を発生させること。
1.悪臭のする足跡:DC18の〈知覚〉判定で深くついた山羊のような足跡を見つける。〈生存〉判定でこれらの窪みは進んでいき、容易に追跡できることが分かる。足跡はおおよそ50フィート続き、以降は何故か消えている。
2.死んだフェイ:PCたちは大量の血によって縞模様に染められた3つの死体を見つける。3人のケルド・ピスキーとして知られるスプライトのようなクリーチャーがここで息絶えていて、その青白い死体はコブだらけの木へと変化している。DC16の〈知識:自然〉判定でこれらのクリーチャーが識別でき、DC14の〈知識:地域〉判定でフェアリーの血は鉛を金に変えるのに使用されるという疑わしい話を思い出す。
3.森の人:3人の未熟で僅かに酒気をはらむ人間の狩人が森を旅していて、兎を罠にかけ、より大きな動物、とくにドゥンライドを追跡する(森の動物の捕捉文章参照)。PCたちが迷子になるか道を探している場合、これらの杣人たちは疑わしい専門性によって自分たちが通っていた道を指し示す。
4.カガヤキカビ:森の中にある大きな岩の下は稀に輝く黴で覆われていることがある。DC16の〈生存〉判定に成功したキャラクターは破壊することなくその黴を十分な量収穫し光源にできる。岩なら取り除くと、この黴は3日間松明と同様の光を放ち続ける。
5.ワイヴァーンの目撃:DC20の〈知覚〉判定に成功したキャラクターは不吉な影に気付き、青いワイヴァーンが木々の上を低空飛行してるのを即座に見上げる。PCたちが特別に(そして特別な大声で)注意を惹こうとしない限り、ワイヴァーンは彼らに気付かない。
6.コボルドの祈祷師:コルモクマークは現在ドワーフの修道院の下に住んでいるコボルドたちのシャーマンであった。彼はポーションを飲んで死に、自身を動くゾンビに変えたあと皆から流刑にされた。そのゾンビ・コボルドは現在森を思考せず目的なく、彼の汚らしいラットの使い魔クリーパー(現在彼の頭蓋骨の中で生活している)を連れて徘徊している。彼は竜語で「シャーマン」と掘られている粗野な木製の鎧を着ている。
7.ジャイアント・モスキート:1匹のジャイアント・モスキート(スタージと同様の一般データ)がPCたちと同じ道を渡り、音もなく歩いているキャラクターの背中にひっつく。この胸糞の悪い昆虫はダメージを受けると逃走する。
8.狩人の仕掛けた罠:グラング・ナイフタン(エリアD参照)は森にいくつもの危険な罠を仕掛けている。草の生えた獣道に彼は巧みに偽装した落とし穴の罠を仕掛けており葉で覆い死んだ兎を置いている。
9.ジャイアント・ムーアスネーク:蛇の捕食者がPCの道を塞いでいる(コンストリクター・スネークと同様の一般データ)。日中は、このムーアスネークは攻撃するにはあまりに気怠げであり単に這って逃げていく。夜は、逆に、宿営へと入り眠っているPCを締めつけようとする。
10.ウルフ:グレイペルト(第三部参照)に仕える2匹のウルフが主人の主張する領域の端まで巡回している。彼らはPCたちが目に入ると激しく攻撃してくるが、どちらかのヒット・ポイントが半分未満に減少した場合揃って逃げ、修道院に帰って主人のウォーグに情報を伝える。
コルモルマーク | CR1/2 |
---|
XP200
NE小型のアンデッド
イニシアチブ+1;感覚暗視60ft.;〈知覚〉+0
防御
AC17、接触12、立ちすくみ16(+4鎧、+1【敏】、+1外皮、+1サイズ)
hp12(2d8+3)
頑健+0、反応+1、意志+2
DR5/斬撃;完全耐性アンデッドの特性
弱点光に過敏、よろめき状態
攻撃
移動速度30ft.
近接ロングスピア+3(1d6/×3)あるいは叩きつけ+2(1d4)
遠隔足留め袋+3接触
接敵面5ft.;間合い5ft.(10ft.ロングスピア)
一般データ
【筋】11、【敏】12、【耐】―、【知】―、【判】10、【魅】10
基本攻撃+1;CMB+0;CMD11
特技《追加hp》B
巧みに偽装した落とし穴の罠 | CR3 |
---|
種類機械式;〈知覚〉DC25;〈装置無力化〉DC20
効果
起動条件場所式;再設置手動
効果深さ30フィートの落とし穴(3d6、落下);反応セーヴ(DC20)で回避;〈登攀〉DC15;複数目標(一辺10フィートの正方形の範囲にいる全てを目標)
木こりの共同宿営地は林立するダークウッドの木々の密集地の一部に痛々しい傷をつけながらつくられたものだ。5つの頑丈な丸太の建物――どうやら飯場、風車小屋、職場、家畜小屋、鋳鉄所らしい――がいくつもの大きな荷車とそりとともに切り屑の残る空間の中央にある。
この土地の木こり組合が所有し統治するこの宿営地は働く人と同様に無感覚で厳しそうに見える。宿営の親方相手の仕事ではない訪問者は概して最初に遭遇した無愛想な木こり(CN男性の人間ウォリアー1/エキスパート1)の一団に追い出される。PCたちが森の人マイロン・ローダムの見舞いに来た場合、DC16の〈交渉〉あるいは〈威圧〉判定に成功しない限り彼らの要求は働いてる人たちに無視される。宿営地の班長ジャールベン・トルークシェイヴィッツの見舞いに来たPCは、恐ろしい森の動物の剥製で装飾された彼の汚らしい職場に連れていかれる。このせっかちな班長はPCたちがDC14の〈交渉〉判定に成功するか男に5gp払うのであればローダムを呼んでくる。
マイロン・ローダム(N男性の人間エキスパート2/レンジャー2)、このずんぐりした静かな男はかつて放浪者であったこの集落の木こりの1人である。彼の甥はブラックスカー汚染に罹り、PCが治療薬を調合する為に試薬を探しに行くことを説明した場合、喜んでPCたちに大雑把な森の地図を書き、ウリズミーラの小屋、森の中の最古の木、そしてドワーフの廃墟があると思われる場所に印をつけてくれる。30人を超える町民がPCたちの帰還の前に死んだのであれば、ローダムの若い従兄弟も鬼籍に入り、この利口な追跡者は彼らに責任があると感じ、将来復讐を求めるかもしれない。
この遭遇はキャラクターが初めて川か湖の近くを通ったときに起こる。この場所の近くを通るPCはDC16の〈知覚〉判定に成功することで動物が近くで鳴いているのが聞こえる。
森に包まれた湖からそう遠くないところに、耳が大きく、腹が輝くような橙色をしているフォックスが後ろ脚を無情な鉄の罠の歯に完全に噛まれている。
このフォックスは明らかにここで狩人の無情な罠にかかっているが、この獣の叫びはより大きな獲物をおびき寄せるためのものだ。密猟者のホブゴブリンであるナイフタンが待ち伏せており、フォックスの叫びがダークムーン・ウルフ、湖からくる巨大沼蛇、あるいは他のPCたちのような好奇心を抱いた通行人を引き寄せるのを期待している。
フォックスは草生した湖か川の岸で伏せっており、水から10フィート、森から20フィートほど離れている。ナイフタンは罠から50フィート北東の樹上の隠れ家にいる。
フォックスを罠から外そうと試みるPCはDC14の【筋力】判定の成功でそれができる。この可愛そうな動物は抵抗しない。
クリーチャー:灰色の肌をした兎唇のホブゴブリンのグラング・ナイフタンは並ぶ木の上で隠れ、より大きな獲物を待ち、弓で捕捉する。
レイザークロウ(2) | CR1/3 |
---|
hp4;Bestiary参照(使い魔の項にあるホーク)。
戦術
士気レイザークロウは死ぬまで戦う。
グラング・ナイフタン | CR1/2 |
---|
ホブゴブリン・ファイター1
hp12;Bestiary参照。
戦術
戦闘前グラングは近くで隠れ、出目10で〈隠密〉判定をしている(距離のペナルティも含めて〈知覚〉DC18で分かる)。彼への〈知覚〉に失敗した者は彼の攻撃の時不意討ちされる。
戦闘中グラングはロングボウを毎ラウンドPCに撃ち、一方で彼のレイザークロウが攻撃する。
士気グラングが少しでもダメージを受けるかPCが彼の20フィート以内に近付いてきた場合、彼は(10フィート高いところにある)止まり木から跳躍し逃げようとする。
このフォックスはダークムーン・ファイアーフットであり、この地方特有のフェネックの一種である(捕捉文章参照)。ファイアーフットは大怪我を負っており、ホブゴブリンの罠によって後ろ足が斬られている。放っておけば数日で死ぬだろう。フェネックを助け手当てするキャラクターは、健康に戻るまで2週間のあいだ看護してもよい(あるいはDC14の〈治療〉判定と1週間)。キャラクターがファイアーフットを治療しようとする場合野生動物との共感あるいはDC14の〈動物使い〉判定に成功することで、フォックスは治療された後もPCたちから逃げない。
普通でないあるいはここ固有のいくつものクリーチャーが隼盆町周辺の土地ダークムーン谷の中に住んでいる。ここにある一覧は単にPCたちが道中で遭遇する可能性のあるものである。DC12の〈知識:自然〉判定はこれらのクリーチャーが判別する。
ドゥンライド(ブラッシュ・コルト):この際立って堅い小さな枝角を生やした鹿は時折乗騎として杣人に調教されることがある(ライト・ホースと同様の一般データ)。
ジャイアント・ムーアスネーク:灰と茶の縞々のスネークは、川や湖の端の障害物や浮いている草葉の中に隠れ身するのに慣れている(コンストリクター・スネークと同様の一般データ)。
ファイアーフット・フェネック:小さな狐は大きな耳と束になった炎色の毛皮の生えた足を持っている(ドッグと同様の一般データ)。
レイザークロウ:特有のギザギザした歯のついた顎と手入れされていない脂ぎった黒い羽のある、大きなミヤマガラスである(ホークと同様の一般データ)。
セイングリスツ・クロウラー:この怒れる赤黒いセンチピードの子供は怪物的なサイズまで成長できる(いずれかのモンストラス・センチピードと同様の一般データ)。その噛みつきは火のように熱いと言われている。
Slurk:この胸糞の悪い青白い地下のフロッグは強力な粘着性を秘めている(D1: Crown of the Kobold King参照)。
森の鬱蒼とした木々と茂みは拓かれ、中央のダークウッドの巨木を敬っているかのようだ。寺院のミナレットより何倍も高く、巨人の腕のように空へ枝を伸ばしている太古の木の下を見ると、人の胴回りよりも太い何本もの根が地面に食い込んでいる。枝は広く硬く、樹皮は厚く色が濃く殆ど真っ黒であり、葉のサイズはバックラーほどもあるこの巨大なものは木と言うよりは枝と幹の大聖堂である。
このダークウッドの老木はダークムーン谷で最も古い。この森をかつて守護していたドルイドである「先陣を切る鷲」デイザール自身によって太古の昔にシューシュー密林から苗がここに植えられたと言われるこのダークウッドは、ダークムーンの繁茂全ての始まりとなったとされている。
掃かれた地形はおおよそ卵型をしており、南北で180フィート、東西で110フィートの広さがある。このダークウッドの老木の幹は低いところで直径30フィートあり、幹から四方八方に伸びる枝を登るのは容易である(DC12の〈登攀〉判定)。粘り強いキャラクターは最終的に高さ300フィート近くある木の頂上から森を一望できる。木に登攀したキャラクターはDC14の視覚による〈知覚〉判定に成功すれば高い枝に吊るされた3つの死体に気付く(宝物参照)。
クリーチャー:タッツルワームとして知られる珍しい竜族はここの大量のダークウッドの枝を住処としている。
穏やかな有様ではあるが、この空き地に危険がないわけではない。
タッツルワーム | CR2 |
---|
hp22;Bestiary 3参照
戦術
戦闘前PCたちがこの沼沢地に入ったとき、タッツルワームは幹の近くの木の葉と枝の中に隠れている。これは出目10で〈隠密〉判定をしていると見做すべきであり、つまりPCはDC25の〈知覚〉判定でこの獣に気付き不意討ちを避けられる。
戦闘中PCが近付いた時、これは木から突撃し、飛びかかり能力を使用し獲物に組みつこうとする。
士気7以下のヒット・ポイントに減少した場合、タッツルワームは逃げようとする。
宝物:ダークウッドの古木の幹を集中して捜索することによるDC12の〈知覚〉判定により、ラウレルの描写していた古木の小さな密集したカビが見つかる。その繁茂は技能のない者の手でも容易に収集できる。
ダークウッドの古木の死体を調査するものはひと月前に隼盆町から失踪していた狩人3人の死体であり、彼らはこの木立に着いたときにタッツルワームに殺されたことが分かる。死体からは肉が殆ど全て奪われているが、杣人の装備は半分貪られた腐乱死体に以前吊られている。死体を捜索した者は以下のアイテムが使用できる状態で見つかる:2張りのヘヴィ・クロスボウ、2振りのショートソード、ハイド・アーマー一式、高品質ショートボウ、燃え盛る鷹の像が刻まれた印章の指輪(5gpの価値)、9gp、12sp、そして8日ぶんの保存食。
森の音は木々が遠ざかるとともに遠ざかり、小さな、ほぼ真円を描く小さな空き地が目の前に開かれる。付近に立つ木々は松、イールン、そしてダークウッド――全て一般的な頑丈な木の種類――であり、拓けた場所から離れるように捩れており、恰もありえないほどの強風で曲げられたか、動けない根本にも関わらず逃げようとしたかのようだ。広場の中央には醜い小屋が建てられているが、それは泥の壁の上に藁、若枝、そして象牙を集めた程度のものでしかない。藁葺き屋根には瘤付きの根っこの束、古い乾燥した動物の死体、そして足輪が吊るされており、全て気味の悪い風によってカチカチと音を立てている。1ダースの茅葺きの呪物――それぞれ小人、インプ、あるいは鎌首をもたげた蛇のような形をしている――が庭に円状に置かれており、ボロボロの厚い扉の前で見張っている。
昔からこの小屋は賢きウィッチ、古めかしい実験を繰り返すこの土地のブギーマンであるウリズミーラの住まいである。彼女は怪物のハグであり北の不死のウィッチの女王であるバーバ・ヤーガその人の偉大な偉大な孫であると言う者もいるが、彼女は奇妙で時に気味の悪い対価によって知恵を貸してくれる、汚らしいが知恵のある賢者であることを知っている。その工芸は未だこの渓谷で放棄されているが、ウリズミーラはずっと前に死んでいる。
この空き地はおおよそ直径120フィートあり、その中央に荒れ果てた、円形の、15フィートほどの小屋がある。不気味ではあるが無害な高さ3フィートの人形のような14体のカカシが空き地中に植えられている。家屋の中に近付く者は、その黴の生えた扉は蝶番が腐りながらも閉じた状態であることが見れる。DC18の【筋力】判定に成功したキャラクターは容易にこの障壁をどかせる。
家屋の中は暗く、煙く、影で充満している。壁には棚が無秩序に並んでおり、様々な種類の土焼きの湯呑み、曇った瓶、奇妙に削られた岩、腐った薬草の束、そして骨を研いだ奇妙な工芸品といったもので敷き詰められている。口の幅が5フィート近くあり深さは最低でも3フィートはある錆びた鉄製の大釜がこの小屋の唯一の部屋を専有しており、灰に覆われた表面には跳ね回る魔物とニヤニヤ笑いのデヴィルの浮き彫りがある。扉の向こう、反対側の壁沿いに、何かの怪物の反り返った巨大な牙、数千の人間の歯、そして小枝を編んで作った背もたれの長い椅子が置かれている。その椅子に腰掛けているのは刺激臭のする薬草が貼られ、白い黴の生えた汚らしい埋葬用の亜麻糸にくるまれた死体のように見える。この気味の悪い姿は実は枝、泥、そして亜麻糸の束であり、侵入者の気が住まいの本当の守護者である愛玩大釜から逸れるようウリズミーラが残したものである。
クリーチャー:この家屋にある大釜は類を見ないアニメイテッド・オブジェクトである。これはウリズミーラの所有物に触るクリーチャーを攻撃する。
ウリズミーラズ・コールドロン | CR2 |
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XP600
N中型の人造
イニシアチブ+0;感覚暗視60ft.、夜目;〈知覚〉−5
防御
AC14、接触10、立ちすくみ14(+4外皮)
hp31(2d10+20)
頑健+0、反応+0、意志−5
防御的能力硬度5;完全耐性人造の特性、クリティカル・ヒット
攻撃
移動速度30ft.
近接噛みつき+3(1d8+1に加えつかみ)
特殊攻撃飲み込み(1d4非致傷、AC15、hp10)
戦術
戦闘前ウリズミーラズ・コールドロンはその小屋内の物品が荒らされるまで完璧に普通の大鍋の外見をしており、その時点で攻撃する。
戦闘中ウリズミーラズ・コールドロンはひらけたところの端まで盗賊らしき者を追跡する(それは小屋の扉を越えて迫ってくる)。敵がこの空き地を越えて逃げた場合、コールドロンは小屋内のあるべき場所に戻り、小屋の物が荒らされるまで不活性化する。
一般データ
【筋】12、【敏】10、【耐】―、【知】―、【判】1、【魅】1
基本攻撃+2;CMB+3(+7組みつき);CMD13(足払いされない)
特殊能力
つかみ(変則)口だけで相手を捕らえる試みにおいて、−20のペナルティを受けない。
飲み込み(変則)大釜は同じサイズのクリーチャーまで飲み込める。大釜は飲み込みの際に使用するACに+3のボーナスを持つ。飲み込みの際に使用するhpは最大hpの1/3に等しい。
宝物:小屋の中身の量と乱雑さのため、10分とDC14の手探りによる〈知覚〉判定が鼠の尾の位置を知るのに要求される。棚の物に触れずに〈知覚〉しようと試みる――それで守護者の大釜の起動を避けられる――者はそれができるが、それには〈知覚〉を行うのに20分かかる。
鼠の尾を別にしても、小屋には隠れた価値のあるアイテムがいくつもある。1分間過ごしDC14の〈鑑定〉判定に成功したキャラクターは30gpの価値のある小塑像と希少な石を見つける。DC14の〈知識:神秘学〉判定に成功したキャラクターはまた使い魔を招来するのに有用な特殊な塩が入ったポーチを見つける。招来の儀式でそれを焼いた場合、その成分は儀式で使用されるgpを半減する。ディテクト・マジックで魔法のオーラの痕跡が明らかになるが、ここに残っている唯一の魔法のアイテムはソウルスピーカーとして知られる胸糞の悪くなるような萎びた頭部である。
オーラ微弱・幻術;CL3
装備部位首周り;市価2,400gp;重量―
解説
この醜悪なアミュレットのような萎びた頭には奴隷化されたかつての所有者の魂が入っていると言われている。持つ者が従うよう強制することで、1日に1回ソウルスピーカーは呪文マジック・マウスがそれに発動されたかのように言葉を繰り返すことができる。所有者は直径6インチの頭部を持たなければならず、ソウルスピーカーが繰り返すべき伝言と、繰り返す状況を話さなければならない。伝言を伝えている間、頭部に刺繍された眼は開き、伝言が終わればすぐに閉じる。
作成要項
必要条件《その他の魔法のアイテム作成》、マジック・マウス;費用1,200gp
ダークムーン谷の探索後、残る見つけるべき唯一の材料は:テツザキキノコだ。この小さな唐傘きのこはドワーフの珍味として知られており、この地に生きたドワーフがいなくなっている現在でも古い倒壊したドワーフの修道院はドロスカーの岩場の麓にある。そのため、PCたちがこれらの茸を回収できる唯一の希望はダークムーン谷の反対側にあるこの廃墟を捜索することとなる。
不運にも、捕食者とそれ以上に悪い存在が廃墟に住んでいる。そうした獣の1匹、些かに老い、そして強力なグレイペルトという名前のウォーグがこの廃墟の地上部分の殆どを制圧し、件の茸が美味であることに気付いている。隼盆町の人々を守るため、PCたちはドワーフの修道院を攻略しグレイペルトとその配下とやりあわなければならない。
特記ない限り、修道院内の部屋はどれも明かりがない。部屋の全ては最低でも高さ10フィートの天井があるが、大抵は斜面のある屋根の形に沿っているため、多くが最大で高さ20フィートまで達する。壁は全て石製であり、内壁は厚さ1フィートであり、外壁は最低でも厚さ3フィートはある。扉全ては強固な木製の扉であり、その多くは変形し固定されており、ごく一部が施錠されている。
隼盆町の人々に一般的に知られているというわけではないが、この修道院のドワーフ達は大昔に堕落し悪になった。堕落の間に、彼ら隠遁者は信仰をドワーフの苦役の悪神ドロスカーへの崇拝に変えた。ドロスカーの飛び地した孤立文化圏に残されたドワーフ達は死ぬまで働き、後には修道院の廃墟とその下に広がるダンジョンだけが残された。今日、地上に残っているものに邪悪な崇拝を示すものは殆どなく、それはドワーフたちが真なる献身を秘していた証である。
この冒険は全て地上階で起こる。このすぐ下にあるダンジョンはD1: Crown of the Kobold Kingに詳細がある。より狡猾な、別の不浄なる存在が地下の深層に巣食っている。この悪の源とより重大な計画についてはこの冒険の範囲外である。
印象的な山の麓にあるのは、捩れた老木の狭間に見える廃修道院である簡素な石レンガで作られ、経年によって滑らかに磨かれたこの堅固な建築は寂れている。傾斜した頁岩の屋根の区画は崩れており、外壁の一部は倒壊している。草木と自然の茨がこの場所までの野原で繁茂しており、荒廃した玄関扉までの道を示すものを僅かに残すのみである。奥の鬱蒼とした庭は影で覆われている。
ウルフ(2) | CR1 |
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hp13;Bestiary参照。
戦術
戦闘前ウルフたちがPCを戦闘前に発見した場合、彼らは大きく吠えながら突撃し、グレイペルトに侵入者を警告する。
戦闘中ウルフたちは1人の敵を選び挟撃する位置につこうとし、2匹で足払い能力を可能なかぎり使用する。
士気ウルフそれぞれは5hp未満に減少した場合未開の地へと逃げる。
廃墟への古道は約50フィート続く。庭に入ると、この通路は古い石像の間を通過する。片方は瓦礫より多少はマシ程度のもので、もう片方は比較的損傷が少ない。その高さ5フィートの石像は信じられないほどに摩耗しているが、大きな石の槌を高く掲げたドワーフを模ったものであることは依然見て取れる。苔と蔓がその表面を覆っている。台座の部分の蔦を除去するとドワーフ語の記述が明らかになり、「諸人讃えよ、[以下は掠れている]」と読める。不幸なことに、この消えた名前は大昔に削られ、もはや読み取れない。DC15の〈知識:歴史〉判定でこの石像は数世紀前の偉大なるドワーフの最後の王であったことに気付ける。
クリーチャー:PCが日中に廃墟に近付く場合、彼らは周囲の地形は災害から免れているのが分かる。レイザークロウ(パスファインダー固有の大鴉)が塔の上の止まり、自分の領地に入る者にカーカーと言う。夜は、しかしながら、2匹のグレイペルトのウルフの配下がこの地を徘徊し簡単に見つかる餌を探しているのが見られるだろう。これらのウルフは他のウルフと同様に日中は廃墟で眠らず、野外で会うのは夜間のみである。
背の高い草と石の塊はそこら中にあるが、小さな庭園にはない。その片隅では木製の馬小屋が倒壊しており、単なる木と黴びた藁の小山となっている。東の外壁もまた倒壊しており、ギザギザの穴が開いている。この庭から3つの扉に通れるようになっている――両開きの扉が東に、片開きの扉が北に、そして孤立した扉が南東の隅にある塔にある。
この庭園はかつてドワーフに肉体の鍛錬の為に使用されていたが、現在はただのその残骸である。背の高い草を調べれば興味深い痕跡が明らかになる。庭の北西の隅に井戸が隠れており、上から10フィートのロープが吊るされている。水深は30フィートより深く、塩辛いが飲めはする。井戸の横で伏せているのはほんの数年前にここに来た探索者の死体である。DC15の〈治療〉判定でこの探索者はより大きな動物に貪られたことが明らかになる。この探索者は水を探している間にグレイペルトの飢えの犠牲となったのだ。
廃墟には古い骨が見つかるが、価値はありそうにない。DC10の〈知識:自然〉判定でこれらはポニーの骨であることが明らかになる。
長い草が足跡を隠しているが、DC15の〈生存〉判定で数体のクリーチャーがこの両開きの扉を通ってこの建物に侵入した僅かな痕跡を見つける。その足跡のいくつかは裸足で爪が生えていて爬虫類のようだが、そうでないものは明らかに四足歩行の哺乳類だ。爬虫類の足跡は常に正面玄関と野外に通じているが、哺乳類の痕跡は正面玄関と東の壁の穴を通っている。
宝物:井戸の底にある腐った背負い袋の内側には1週間分の保存食、盗賊道具一式、50フィートの絹のロープ、様々な硬貨で合計42gpの入った小さな小銭入れ、そしてポーション・オヴ・キュア・ライト・ウーンズの入った青い小瓶が入っている。冒険者たちの他の装備はずっと前に取られている。
塔へ続く扉はたてつけが悪く、DC13の【筋力】判定が開閉に要求される。高さ30フィートの塔の上には開いた跳ね上げ蓋があり、中に入れるようになっている。
厚い蜘蛛の糸がこの塔の底部の内側に蓄えられた古い木箱と樽の殆どを覆っている。ガタついた木製の階段が一面の壁沿いに登っており、上の開いた跳ね上げ蓋に通じている。
この木製の階段は塔の屋根まで続くが安全ではない。中型とそれより大きなクリーチャーは階段を昇るのにDC10の〈軽業〉判定が要求される。判定に失敗すればキャラクターは昇れない。判定に5以上失敗すれば階段は倒壊し、2d6ポイントのダメージを不運なキャラクターに与える。
クリーチャー:いささか攻撃的なモンストラス・スパイダーがこの部屋に住んでおり、それによりここはグレイペルトが避ける部屋の1つとなっている。扉が開いた瞬間、スパイダーは降りて攻撃する。蜘蛛の巣によってスパイダーは階段を使うことなく塔中を動けるが、PCたちの移動が巣によって妨げられることはない。
ジャイアント・スパイダー | CR1 |
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hp16;Bestiary参照。
戦術
戦闘前このスパイダーは蜘蛛の糸の中に隠れており、DC15の〈知覚〉判定で気付ける。
戦闘中スパイダーは戦術なしに最寄りの敵を攻撃する。このスパイダーはPCたちを塔の外まで追跡するが庭の外まではしない。
士気棲み家にいる場合、スパイダーは死ぬまで戦う。庭にいる場合、スパイダーはダメージを受けたら塔へと逃げ戻る。
宝物:室内の木箱と樽の中身の殆どは消耗品であるが、ずっと前から腐っている。小さな木箱には油布で覆われた高品質ショートソードが入っている。
両開きの扉の向こうは小さく暗い広間だ。長い月日が経ったことを示す枯葉とゴミの小山が散らばるここには、内側へ続く蛇行する狭い道が通っている。
地下から来たウルフとコボルドたちは時にこの小部屋を修道院の出入口として使用している。DC20の〈生存〉判定に成功したキャラクターはこのエリアの通行者の大半は北へ向かっていることを明らかにする。堆積物や葉の中には興味を惹くようなものはない。
この部屋への扉はたてつけが悪くDC13の【筋力】判定で開く。
大きくギシギシと音を立てながら扉は最終的に開かれ、扉の反対側に積まれた古い木製の椅子が砕かれる。部屋の奥は暗く、ゴミと腐敗の臭いが強く漂っている。
この部屋はかつては修道院の客への待合室として使用されていた。ドワーフたちに終焉が訪れたとき、彼らの1人はこの部屋へ行き毒を大量に服用した。彼の木乃伊化した残骸が部屋の中央にある。鍛冶屋の服を着たそのドワーフは片手で玻璃のビンを砕き、残る手で大昔の羊皮紙に書き綴った。ドワーフ語で書かれたこの羊皮紙には「鍛冶の闇の神よ、お赦しください、私は労役が終わることはないでしょう。」とある。
宝物:大昔に死んだドワーフの腰帯に挟まれているのは宗教の聖印が頭に彫られている銀製ライト・ハンマーだ。聖印はDC15の〈知識:宗教〉技能判定で勤勉と受難を司るドワーフの神ドロスカーのものであると判別できる。この金槌は21gpの価値があるが、収集家にとっては200gpの価値がある。
この小部屋はこの修道院へ来た客の旅用の外套、上着、そして帽子を保管する為に使用されていた。現在は止め釘に吊るされた苔に食われたボロ布数枚と丸机の上に置かれた土塗れの帽子が1つあるだけだ。
宝物:部屋の南西の角には1つの鈍色に輝くキノコがある。街全体を救うには十分とは言えないが、このキノコは始まりを約束するものだ。このキノコはDC15の〈知覚〉で見つかる。
通路からこの部屋に通じる扉は施錠されている。この錠は極めて古く、いじるのは容易であり、DC20の〈装置無力化〉判定しか要求されない。
この小部屋は居間の一株であり、1つの丸机と2つの椅子があり、どれも良好な状態である。丸机の上には半分食べられた粗雑な短刀と欠けた湯飲みの横に半分食べられた烏がある。
落下する廃材の罠 | CR1 |
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種類機械式;〈知覚〉DC10;〈装置無力化〉DC15
効果
起動条件接触;再設置なし
効果攻撃+5近接(1d6、廃材);複数の目標(室内にいるそれぞれの目標に1d4の廃材が落ちる)
この部屋はここと地表を陣取るコボルドの斥候であるガートルケプに使用されており、休息所兼食事どころとされている。ガートルケプはウォーグとその配下にわけもなく怯えているため、部屋に侵入する者用の些か単純な罠を準備している。その烏はコボルドの最近の肉であり、彼は誰かがこの料理の残りに触らないかと大いに心配している。
罠:天井に吊られた網はいくつもの石と小さな金属の鉄床を支えており、(扉が開く方に動けば)外れるロープに気付かずに扉を通過すると落ちるようになっている。この部屋に入ったキャラクターそれぞれはDC10の反応セーヴに成功しない限り罠を起動させる。成功した者は罠に気付くわけではない。罠の起動は侵入者たちを害するだけでなく、騒音がガートルケプ(エリア8)に彼らの存在を警告する。
この小さく狭苦しい部屋には2つの寝台(1つは鳥の骨が多く乗っている)、小さな袋、そして並べられた古い道具がある。もう1つの寝台は最近眠ることに使用されているようだ。
クリーチャー:この部屋はガートルケプ、地下のダンジョンから送られたコボルドの斥候の住まいであり、地表を見渡している。ガートルケプは日中ここで眠り夜に修道院の部屋を徘徊する。PCたちが日中にここに来た場合、PCたちがエリア7の罠を発動していない限りガートルケプは戦闘に備えていない。夜の場合、ガートルケプはエリア11で庭を観察しているのが見つかる。
ガートルケプ | CR2 |
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XP600
男性のコボルド・ローグ3(罠師)
LE小型の人型生物(爬虫類)
イニシアチブ+7;感覚暗視60ft.;〈知覚〉+7
防御
AC17、接触14、立ちすくみ14(+2鎧、+3【敏】、+1外皮、+1サイズ)
hp20(3d8+3)
頑健+1、反応+6、意志+2
防御的能力身かわし
弱点光に過敏
攻撃
移動速度30ft.
近接高品質ショートソード+7(1d4/19〜20)
遠隔ダガー+6(1d3−1/19〜20)
特殊攻撃急所攻撃+2d6、巧みな引き金
戦術
戦闘前PCたちに気付いた場合、ガートルケプは寝台の下に隠れ、完全遮蔽を得る。ガートルケプが攻撃する前に対抗〈知覚〉判定に成功したPCは不意討ちラウンドに行動できる。
戦闘中ガートルケプは狭い空間を可能な限り使用して優位を得て、他者が部屋に入るのを妨げる。彼は最小限の鎧しかつけていないPCを最初に集中して攻撃する。
士気3以下のヒット・ポイントに減少した場合、ガートルケプは壁の穴を通って通路に逃げようとする。この穴は寝台の5フィート上にあり、入るには1回のDC10の〈登攀〉判定が要求される。この部屋を出たガートルケプはグレイペルトと地階のコボルドたちに警告しに逃げる。
一般データ
【筋】10、【敏】17、【耐】11、【知】10、【判】12、【魅】8
基本攻撃+2;CMB+0;CMD13
特技《イニシアチブ強化》、《武器の妙技》
技能〈登攀〉+6、〈製作:罠作り〉+8、〈隠密〉+13、〈軽業〉+9、〈知覚〉+8、〈装置無力化〉+9、〈水泳〉+6、〈職能:鉱夫〉+6;種族修正+2〈職能:鉱夫〉、+2〈製作:罠つくり〉、+2〈知覚〉
言語竜語
SQ罠探し、罠感知+1
戦闘用装着品ポーション・オヴ・キュア・ライト・ウーンズ;その他の装着品ダガー(4)、高品質ショートソード、小型用レザー・アーマー、盗賊道具
特殊能力
巧みな引き金(変則)この技を有するローグは30フィート以内にある、自分が作成した罠1つを発動させることができる。
宝物:予備の寝台の上にあるのは〈製作:石造り〉技能判定を行うのに有用な、欠けのない高品質の職人道具である。加えて、62gpの様々な硬貨の入った小袋と300gpの価値のあるルビーの宝石飾り1つが見つかる。それ自身は魔法的ではないが、この宝石は確認された場合僅かな召喚術魔法の輝きを放ち、これはエリア10の祭壇から失われた石の1つである。
進展:ガートルケプに逃げることが許された場合、彼はすぐさまグレイペルトに侵入者の警告をし、グレイペルトはウルフを散らし侵入者を狩らせようとする。エリア15にその詳細がある。
この部屋へ続く両開きの扉は粉砕され壊され、その片側は床に倒れている。先にある部屋は完全な荒廃状態となっている。かつては図書室であったここ現在はめちゃくちゃに壊され、一角が完全に倒壊して淀んだ大きな水たまりで占められている。厚い菌糸が壁に沿って並んでいる棚にある本の殆どから生えている。
この部屋はかつては修道院の図書室であり、ドワーフの伝承と歴史に関する本で占められていた。価値ある物がなんでも取り去られ、そして菌糸類が残りの本の殆ど全てを侵食してから長い年月が経っている。
災害:室内の棚に走る黴は関わると災害を引き起こす。本が動かされたり黴を破壊した場合、胞子が広がり10フィート以内の者への吸入毒のように機能する(吸入;セーヴ頑健DC12;頻度1/ラウンド(6);効果1d2【耐】;治癒1セーヴ)。加えて、胞子からダメージを受けた者は視界の隅に動悸を打つ奇妙な影ができ、1時間のあいだ〈知覚〉判定に−2のペナルティを受ける。
宝物:ある本棚の上に破壊的な黴をどうにか避けられた書物がある。この本はドワーフ語で書かれており、ドロスカーより前にここで崇められていた神トラグへの祈祷が含まれている。この本は美しく装飾されており100gpの価値があるが、ドワーフの収集家あるいはクレリックに売った場合300gpになる。この本に収められた最後のページはスクロール・オヴ・スピリチュアル・ウェポンである。
この太古の神殿の両側にダークウッド製の長椅子が散らばり、埃で覆われている。奥には大きな儀式用の鉄床があるが、その表面は削られ、模様がなくなっている。
この神殿はかつて鍛冶の神トラグへと奉仕するためのものだったが、修道院がドロスカーへの崇拝に転じたとき、この部屋は壊され腐敗だけが残された。この金床はDC10の〈知識:宗教〉判定の成功でトラグへの捧げ物だと判別できる。特に気になることとしては祭壇の上に5つの小さな窪みがあることだ。これらの窪みにはかつて5つのルビーが嵌っていた。それらの石の多くは大昔に失われたが、1つは未だ残っておりガートルケプの部屋(エリア8)の別の聖遺物の中で見つけられる。そのルビーを窪みの1つに嵌めれば、祭壇から正のエネルギーの波が放たれて室内の者を打ち、この世ならぬドワーフの聖歌が闇から発し、薄れ消えゆく。室内の全てのクリーチャーはキュア・ライト・ウーンズ呪文の利益を受け、1時間のあいだ攻撃ロールに+1の士気ボーナスを得る。これによってルビーから魔力は吸い取られるが、それは依然として本来の価値を保っている。
クリーチャー:2体のダークマントルはこの部屋を住まいとして陣取っていて天井に止まっている。
ダークマントル(2) | CR1 |
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hp15;Bestiary参照。
戦術
戦闘前ダークマントルが落ちて攻撃する1ラウンド前に、それぞれはダークネスを触手に持った小石に発動する。彼らは集団全体が部屋の中に入るまで待ってから急降下し攻撃する。
戦闘中ダークマントルそれぞれは異なる敵を目標にし、可能なかぎり早く組みつき締めつけようとする。
士気ダークマントルはこの部屋に居続け死ぬまで戦う。
この長い通路は崩れたドワーフの石像で行き止まりとなる。ずっと昔に叩き壊された彫像はどうにかドワーフ・モンクを象っていたと認識できる。彼の石の槌は粉砕された彼の頭部の横に落ちている。
クリーチャー:PCたちが夜に廃墟に訪れた場合、ガートルケプはエリア8の私室の代わりにここで見つかる。通路から彼は中庭に侵入者の徴がないかと観察する。修道院に侵入するPCを視認した場合彼はグレイペルトと(君がこの冒険をD1: Crown of the Kobold Kingに続くように使用していたのであれば)地下で生活するコボルドの同胞に警告しに急ぐ。警報が鳴った後、彼は静かにPCたちのあとをつける。彼は彼らが別の敵と交戦するまで一撃を加えるのを待ち、死ぬまで攻撃する。エリア8のガートクレプの一般データ参照。
この部屋は完全に破砕しており、外壁と天井の大半は完璧に倒壊している。
この部屋はかつてこの修道院のモンクたちが学問に励む部屋であった。現在ここは単なるバットのスウォームの住まいであり、彼らは天井の残骸を止まり木としている。大きな石と瓦礫の塊が床に散らばっているためこの部屋の殆どは移動困難な地形である点に注意。
クリーチャー:この部屋に住むバット・スウォームは荒らさない限り無害のようだ。PCが大きな音をこの部屋でたてた場合(砂利を踏むなど)、スウォームは降りて攻撃してくる。このスウォームは視覚によるDC15の〈知覚〉の成功によって事前に知ることができる。
バット・スウォーム | CR2 |
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hp13;Bestiary参照。
戦術
戦闘中バット・スウォームは毎ラウンドできるだけ多くのPCがいる空間を占めようと広がる。
士気バット・スウォームは5ヒット・ポイント未満に減少した場合この修道院から逃げる。これは次の夜明けに再度木の梁に巣を作るため戻ってくる。
古い蜘蛛の巣に覆われた棚と鎧がこの小部屋の大部分を占めている。かつてはよく手入れされた武器庫であったに違いないが、現在は武器も防具も欠けている。
この部屋は大昔に探索者の一団によって略奪されている。隠し扉が北東の部屋の隅にある。隠し扉はDC20の〈知覚〉判定の成功で場所が分かる。
宝物:この部屋を漁った探検家たちは急いでいたためボルトを入れていた箱を飛ばしてしまい、中身が床に散らばった。彼らはボルトの多くを集めたが、4本の+1フレイミング・リピーティング・クロスボウ・ボルトは棚の下に行き発見されなかった。これらのボルトはDC15の〈知覚〉判定で、あるいはディテクト・マジック呪文あるいはそれに似た効果で自動的に見つかる。
隠し扉が開かれると、壁の片側に閂が走る短い廊下が明らかになる。ここの壁に付けられた4つの錆びた扉から4つの独房に入れる。
この部屋はドロスカーへの信仰について話し合うための修道院の会合部屋だ。改宗しなかったものを閉じ込めておく為にも使用された。それらの不運なドワーフたちはここに残り死んでいった。この部屋への扉の施錠は錆びており、開くのは容易である。
クリーチャー:独房全てには大昔に死んだドワーフたちの骨が入っており、そのうち3つは実は独房の扉が開かれるや否や起き上がってキャラクターたちに攻撃するスケルトンである。
ドワーフ・ウォリアー・スケルトン(3) | CR1/3 |
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XP135
中型のアンデッド(人型生物の変性種)
イニシアチブ+6;感覚暗視60ft.;〈知覚〉+0
防御
AC16、接触12、立ちすくみ14(+2鎧、+2【敏】、+2外皮)
hp4(1d8)
頑健+0、反応+2、意志+2
DR5/殴打;完全耐性[冷気]、アンデッドの特性
攻撃
移動速度20ft.
近接2爪+1(1d4+1)
戦術
戦闘中ドワーフ・スケルトンは移動し最寄りの生きているクリーチャーに毎ラウンド攻撃する。武器を持っていないため自身の爪を使用する。彼らは盾を持たず、代わりに+2の鎧ボーナスを与えるレザー・エプロンを着ている。
士気ドワーフ・スケルトンたちは死ぬまで戦う。
一般データ
【筋】13、【敏】14、【耐】―、【知】―、【判】10、【魅】10
基本攻撃+0;CMB+1;CMD12
特技《イニシアチブ強化》B
装着品レザー・エプロン
宝物:動き出さない唯一の骸骨は幽閉の間もトラグに対し敬虔で在り続けた。骸骨は簡素な藁の簡易寝台の上で安らかそうな姿勢で横たわっている。手の片方には古のアイテムリング・オヴ・トラグ(捕捉文章参照)がある。その胸郭の内側で2株のテツザキキノコが育っている。
オーラ微弱な防御術;CL3
装備部位指輪;市価1,200gp
解説
この簡素な金の指輪には内側から火の輝きを放つ大きな赤い宝石が嵌められている。この指輪の装着者はその日最初に受けた[火]の攻撃に対し[火]への抵抗10を得る。この防備は毎朝夜明けに更新される。加えて、装着者は[火]の呪文と効果へのセーヴに+1の抵抗ボーナスを受ける。この指輪は24時間装着しなければ効果を発しない。
作成要項
必要条件《魔法の指輪作成》、レジスト・エナジー;費用600gp
この研究室には最近まで何かが住んでいたようだ。齧られた骨が床に散らばり灰色の毛皮の房がそこかしこに見られる。古い石製の机が部屋の中央にあり、部屋のいくつかの箇所にひっかき傷があり砕けている。濡れた動物の毛の強い臭いが空気中に漂っている。
ここはかつては高僧の研究室であり、そこで高僧は説話を書き外からの訪問者と会う際にも使っていた。現在、ここはグレイペルトの信奉者の2匹の雌のウルフの住処となっている。
ウルフ(2) | CR1 |
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hp15;Bestiary参照。
戦術
戦闘前戦闘前にPCたちを視認できた場合、彼らは大きく吠えながら突撃し、グレイペルトに侵入者を警告する。
戦闘中ウルフたちは1人の敵を選び挟撃する位置につこうとし、2匹で足払い能力を可能なかぎり使用する。
士気ウルフそれぞれは5hp未満に減少した場合グレイペルトのもとへ逃げる。
クリーチャー:ウルフたちは通常日中書き机の後ろで寝ており、夜に活動する。グレイペルトが侵入者の警告を受けていた場合、2匹のウルフはPCたちを嗅ぎつけ殺そうとしている。どちらにせよ、2匹は侵入者を視認した瞬間に攻撃する。
宝物:書き机の中には太古の羊皮紙の残骸と古い筆以外には何もない。引き出しの1つには隠し収納があり、DC15の〈知覚〉判定で見つけられる。内側には+1ハンドアックス、100ppの入った小さな布袋、そして祈祷書。本はドワーフ語で書かれておりドロスカーへの崇拝について書かれている。表紙の内側にある小さな走り書きには「トラグはもはや我々の信仰には値しない。ドロスカーのみが我々をガーボルド王の過ちから解放してくれる」とある。この本はドワーフの歴史に興味をもつ学者にとっては50gpの価値がある。
屋根に開いた大穴から僅かな光がこの廃墟となった部屋に注いでいる。かつて天井を支えていた石柱の1つは倒れ、砕けた破片が床に散らばっている。近くの隅には無数の黒いキノコが厚く積もっており、部屋に湿った毛皮の香りの中でもどうにか気付ける大地の香りを与えている。
グレイペルト | CR3 |
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XP800
男性で老年のウォーグ・ウォリアー2
CE中型の魔獣
イニシアチブ+1;感覚暗視60ft.、夜目、鋭敏嗅覚;〈知覚〉+12
防御
AC13、接触11、立ちすくみ12(+1【敏】、+2外皮)
hp35(6d10+2)
頑健+7、反応+5、意志+4
攻撃
移動速度30ft.
近接噛みつき+8(1d6+3に加え足払い)
戦術
戦闘前修道院から怪物を排除するグレイペルトをPCが手伝っている場合、PCたちは〈真意看破〉判定でこのウォーグの〈はったり〉との対抗に成功することで彼が攻撃する不意討ちラウンドに行動できる。
戦闘中グレイペルトは戦闘が不得手な者を狙い、術者を第一の目標とする。彼は他に選択肢がない時や敵が立とうとしている時以外は転倒中の敵を攻撃しない。
士気ここはグレイペルトの住まいであり彼はここを守るため死ぬまで戦う。
一般データ
【筋】14、【敏】12、【耐】10、【知】8、【判】16、【魅】12
基本攻撃+6;CMB+8;CMD19(23対足払い)
特技《技能熟練:知覚》、《疾走》、《鋼の意志》
技能〈隠密〉+7、〈生存〉+6、〈知覚〉+12、〈はったり〉+3、〈威圧〉+5;種族修正+2〈隠密〉、+2〈生存〉、+2〈知覚〉
言語共通語、ゴブリン語
この部屋は自分が地上の廃墟の支配者だと思っている邪悪なウォーグ、グレイペルトの住まいである。グレイペルトがここに来るずっと以前は、ドワーフはこの部屋を地下の基地のための貯蔵庫として使用していた。ドワーフがドロスカーに戻ったとき、地下の基地は拡張されドワーフが密かに崇拝していたダンジョンへと繋がった。このダンジョンはD1: Crown of the Kobold Kingに描写されている。君がこの冒険を単体として使用する場合、キノコがPCたちがここに来る唯一の理由であり、その地下は単なる小さな空っぽの部屋であり、蜘蛛の巣と埃しかない。
クリーチャー:グレイペルトは狡猾な敵でありPCが入ってきた瞬間から彼らを強烈な脅威であると認識する。彼の配偶者の負傷あるいは死亡から、彼は侵入者との対決に注意を払っている。彼の最初の振る舞いは隠れていた折れた石柱の上から飛び出し、歯を剥き出しにして〈威圧〉判定で士気をくじくことである。PCたちが攻撃しようと移動する場合、彼は話しかけ、どうして眠りを妨げるのか教えてくれと求める。彼らが彼に必要な物を告げる場合、彼は嘘を吐き、他のモンスターたちの一部をこの修道院から排除してくれたならキノコを渡そうと(あるいはこのモジュールが単なる前奏曲である場合、下へ行けと)告げる。グレイペルトはエリア14にいるスケルトンを除いたこの修道院にいる全てのクリーチャーを知っており、PCたちにダークマントルを殺して欲しいと頼む。PCたちがこの仕事から戻ってくると、彼はこの塔にいるバット・スウォームを、次にスパイダーを殺して欲しいと頼む。このウォーグはこれらの他のモンスターと戦わせることでPCを弱体化させ、最後に帰ってきたときに容易に圧倒できるようにしようと考えている。
PCたちがグレイペルトの求めに応じるかに関わらず、彼は自分の分け前のキノコを彼らが認めるかに興味などなく、彼らが防備を下げた瞬間に攻撃する。
宝物:柱の裏に押し込まれているのはグレイペルトによって隠された価値ある物であり、それには354gp、高品質ライト・クロスボウ、ポーション・オヴ・ブルズ・ストレンクス、そしてワンド・オヴ・ライト(CL1、28チャージ)がある。部屋の暗い隅にはテツザキキノコが全部で6つ、小さく群生している。
調合に必要なもの全てを回収すれば、PCたちは足止めもなく隼盆町に駆け戻れる。ラウレルは彼らを見ると喜び、すぐに治療薬を調合し始める。その夕方、多くの土地の者が快方に向かう。ラウレルは支払われるべきものをキャラクターに支払い、以降の割り引きを請け負う。そうでない町の者も彼らの英雄的行為に目をつけ、そういった者の中にはティードゥム組長も含まれる。
この冒険をD1: Crown of the Kobold Kingの導入として使用していた場合、キャラクターたちはグレイペルトとやりあったあと自由に修道院の下にある廃墟の奥を探検できる。
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System Reference Document. Copyright 2000. Wizards of the Coast, Inc; Authors Jonathan Tweet, Monte Cook, Skip Williams, based on material by E. Gary Gygax and Dave Arneson.
GameMastery Module D0: Hollow’s Last Hope, Copyright 2007 Paizo Publishing, LLC. Author: Jason Bulmahn and F. Wesley Schneider.
このシナリオはゴラリオン世界のものですが原文では3.5eのルールを使用しており、訳者がパスファインダーRPG用にコンバートしています。その際、モンスターの性能などに主観による変化が加えられています。
また町の記述はパスファインダーRPG準拠に変更しています。
モンスターの知識判定はHobby Japan公式サイトの4eのモンスター知識判定を参考にしています。